
鑑定は本物かどうかや作者を見極めること、査定は買い取りなどの値段を決めること、評価は品質や価値を判断すること(値段を決める意味で使うこともあります)です。売りたいのか、本物か確かめたいのか、品質を人に説明したいのかで、頼む先が変わります。
手元の工芸品や骨董について調べると、「鑑定」「査定」「評価」という言葉が出てきます。どれも品物を見て判断することですが、何を判断するのか、だれが行うのかが違います。違いを知っておくと、目的に合った相手に頼めます。

3つの言葉の違い
| 比べること | 鑑定 | 査定 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 判断すること | 本物かどうか(真贋)、良し悪し | 値段や等級 | 品質や価値(値段を決める意味で使うこともある) |
| 主に行う人 | 品目や作家に詳しい専門家・団体 | 買い取る店 | 評価を行う機関や専門家 |
| 結果の形 | 鑑定書、意見 | 買い取りの値段 | 評価書、証書など |
| 頼む目的 | 本物か、だれの作かを確かめる | 売る | 品質を説明する、記録に残す |
辞書(デジタル大辞泉)では、鑑定は書画や骨董、刀剣などの真贋や良否を判定すること、査定は金額や等級などを調べたうえで決めることと説明されています。評価には、品物の値段を決めることと、物事の価値を判断して決めることの両方の意味が載っています。
鑑定:本物かどうか、だれの作か
鑑定は、品物が本物かどうかや、だれの作かを見極めることです。結果を書いた書類が鑑定書です。
鑑定書は、それを出した人や団体の判断を示すものです。受け取ったら、だれが出したのか、何について判断したのか(本物かどうか、作者、時代など)を確かめます。
査定:買い取りの値段を決める
査定は、値段や等級を調べて決めることです。工芸品や骨董を店に売るときは、買い取る店が査定をします。古物の売買を仕事にするには、都道府県の公安委員会の許可が要ります(古物営業法第3条)。許可を受けて古物の売買をする人や店を、古物商といいます(同法第2条)。法律でいう「古物」は、一度使われた品や、まだ使っていなくても使うために売り買いされた品のことで、鑑賞用の美術品も含まれます(同法第2条)。
買い取りのとき、店は売る人の住所・氏名・職業・年齢を確かめ、取引の内容を帳簿などに記録することが法律で決められています(同法第15条・第16条)。売るときに本人確認を求められるのはこのためです(取引の金額が一定より小さい場合などには例外があります)。
査定額は、その店がその時点で示す買い取りの値段です。品物の品質を説明する書類とは、役割が違います。
評価:値段の話か、品質の話か
評価は、使う場面によって意味が変わる言葉です。たとえば相続税の計算では、書画や骨董の価額(その品の値打ちを金額で表したもの)を、売買の実例やその品に詳しい人の意見などを参考に評価します(国税庁「財産評価基本通達」135)。販売業者が商品として持つ書画や骨董は、別の方法で評価します。この場合の評価は、値段を決めることです。
一方で、工芸品の品質や技法を基準に沿って判断することも評価と呼びます。「評価」と書かれた書類を見たら、値段の話なのか、品質の話なのかを確かめてください。
目的に合わせて、どれを頼むか
| したいこと | 頼むもの | 頼む先 |
|---|---|---|
| 売りたい、いくらで売れるか知りたい | 査定 | 買い取りを行う店(古物商) |
| 本物か、だれの作かを確かめたい | 鑑定 | その作家や品目に詳しい専門家・団体 |
| 品質や技法を、買い手や家族に説明できる形で残したい | 評価(評価書・証書) | 第三者の立場で評価する機関 |
| 相続税の申告で価額を知りたい | 財産の評価 | 税理士に相談 |
売るつもりがあるなら、まず査定です。いくつかの店で査定を受けると、値段を比べられます。
本物かどうかが気になるなら、鑑定を頼みます。作家の名前がある品なら、その作家に詳しい専門家や団体に頼みます。
品質や技法を人に説明したいとき、記録として残したいときは、評価が向いています。相続の申告で価額が必要なときは、税理士に相談してください。
品目ごとの確かめ方は、「漆器の見分け方」と「伊万里・有田焼の見分け方」で説明しています。
書類を受け取ったら確かめる4つのこと
鑑定書、評価書、証書などの書類は、出した人や団体によって書いてあることが違います。次の4つを確かめると、その書類が何を示しているのかが分かります。
- だれが出したか(名前、所在地、連絡先)
- 何について判断したか(本物かどうか、作者、品質、値段)
- いつ判断したか(日付)
- 書類そのものが本物かを確かめる方法があるか(番号で照合できるかなど)
書類を品物と一緒に人へ渡したり、売ったりするときは、受け取った人が書類の出どころを確かめられるかどうかも大切です。
KOGEI CODE の評価証書でできること・できないこと
KOGEI CODE(KOGEI CODE 株式会社)は、日本の工芸品を第三者の立場で評価し、証書番号つきの評価証書を日本語と英語で発行する評価・認証サービスです。工芸品を仕入れず、売買の手数料も受け取りません。評価の基準づくりと運用は、公正さを保つため、別の法人が行う体制を準備しています。
評価証書には、評価した作品の写真と、品目・技法・作者・産地・寸法・状態、総合評価と所見(作品を見て判断したことを書いた文)を記します。技法は「沈金」「蒔絵」のように固有の名前で記し、作品とあわせて技法の確かさを評価します。

価格は書きません。評価証書は作品の評価を示すもので、将来の価格や売れることを保証するものではないからです。
証書番号を照合ページに入れるか、証書のQRコードを読むと、KOGEI CODE が発行した証書かどうかと、作品の情報を確かめられます。照合で確かめられるのは証書が本物かどうかで、作品の真贋を保証するものではありません。
| できること | できないこと |
|---|---|
| 作品と技法を基準に沿って評価し、証書に残す | 作品の真贋の保証 |
| 日本語と英語の証書で、品質の根拠を示す | 価格の提示、将来の値上がりの約束 |
| 証書番号とQRコードで、証書が本物かを照合する | 作品の買い取り、販売の仲介 |
評価の流れと証書に記す項目は「評価と評価証書」に、照合の方法は「照合」にまとめています。
よくあるご質問
鑑定書と評価証書は何が違いますか
鑑定書は、品物が本物かどうかや、だれの作かについての判断を記した書類を指すのが一般的です。KOGEI CODE の評価証書は、作品と技法を基準に沿って評価した結果を記したものです。価格は書かず、作品の真贋を保証するものでもありません。
鑑定書とは何ですか
鑑定書は、品物が本物かどうかや、だれの作かについて、鑑定した人や団体の判断を書いた書類です。受け取ったら、だれが出したのか、何について判断したのか、いつの判断かを確かめます。
骨董の鑑定と査定は、どちらを先に頼めばよいですか
目的で決めます。売るつもりなら、まず買い取る店の査定を受けます。本物かどうか、だれの作かが気になるなら、先に鑑定を頼みます。
査定額と評価は同じですか
同じではありません。査定額は、買い取る店がその時点で示す値段です。評価は、値段を決める意味で使う場合と、品質を判断する意味で使う場合があります。書類の「評価」がどちらの意味かを確かめてください。
書類があれば高く売れますか
値段を決めるのは、買い手や買い取る店です。書類があることで値段が決まるわけではありません。KOGEI CODE の評価証書も、将来の価格や売れることを保証するものではなく、品質の根拠を示すための書類です。
工芸品を売るとき、何を用意すればよいですか
作者自身が題名や名前を書いた箱(共箱)、作品や作者の説明を書いた紙(しおり)、買ったときの書類、産地の組合などが貼る証紙など、だれが作り、どんな経緯で手元に来たか(来歴)が分かるものをそろえます。買い取りのときは店が本人確認を行うので(古物営業法第15条)、身分証明書も用意しておきます。
相続で工芸品の価額を知りたいときは、どうすればよいですか
相続税の計算では、書画や骨董の価額(その品の値打ちを金額で表したもの)を、売買の実例や詳しい人の意見などを参考に評価します(国税庁「財産評価基本通達」135)。申告に関わることなので、税理士に相談してください。
出典
- デジタル大辞泉「鑑定」(コトバンク)
- デジタル大辞泉「査定」(コトバンク)
- デジタル大辞泉「評価」(コトバンク)
- 精選版 日本国語大辞典「共箱」(コトバンク)
- 古物営業法 第2条・第3条・第15条・第16条(e-Gov法令検索)
- 国税庁「財産評価基本通達」第4節 書画骨とう品(135)
- KOGEI CODE「評価と評価証書」
(2026年10月20日確認)